65歳以上の高齢者の
3人に1人が認知症に!
 2015年の厚生労働省の調査によれば、日本には今、約520万人の認知症患者がおり、さらに約400万人の軽度認知障害(MCI)、いわゆる予備軍の方がいます。
 また、ただの老化だろうと思い込んだり、認知症と診断されることを恐れて受診を避けている、いわゆる「隠れ認知症」患者も300万人以上いると推定されます。
 団塊の世代が75歳になる2025年には、国内で1300万人もの人々が認知症になると言われ、65歳以上の高齢者に限れば、3人に1人が認知症とその予備軍になります。
 ここに隠れ認知症の人たちも含めると、実に1800万人規模の人たちが認知症、およびその予備軍になるという、恐ろしい未来の姿が浮かび上がってきます。
アルツハイマー病は徐々に
自立した生活が困難になる。
 アルツハイマー病を発症すると、次のような順序で脳が縮んでいくことがわかっています。
 最初に海馬(記憶をつかさどる部位)が縮み、その後に側頭葉(言葉の理解をつかさどる部位)や、前頭葉(思考や創造性をつかさどる部位)が縮みます。
初 期
 初期は軽度の記憶障害が現れます。
 度忘れが増える、約束を忘れる、人やものの名前が出てこない、同じ言葉を繰り返す、日常的に使用する物の置き場所を忘れる、本やドラマなどの話の筋を追えない、日付や曜日がわからなくなるなど。身支度にまごついたり、料理などに時間がかかったりするようになります。
中 期
 このレベルになると、介助なしの自立した生活はかなり困難になります。
 自分のいる場所がわからなくなって慣れた道で迷う、季節感がなくなる(冬に夏服を着てしまうなど)、着替えや歯磨きができなくなる、鏡を相手に話しかける、すぐに怒る、衝動的に暴力を振るう、大声をだす、語彙が極端に減る、言葉が出なくなる、ぼんやりしていることが増える、不潔に気づかなくなる、夜間にあてもなく徘徊するなど。
後 期
 大脳皮質の広い範囲で萎縮が見られるようになります。運動機能にも影響が出始め、記憶や認知機能も著しく低下します。
 長年連れ添った伴侶や子供の顔がわからなくなり、トイレの場所や仕方がわからず、失禁してしまいます。さらに自分の便の正体がわからず、手で弄ったり、壁や服になすりつけたりすることがあります。
終末期
 この段階になると正常な意思疎通はかなり困難です。
 運動機能が失われ、寝たきりになります。言語によるコミュニケーションはほぼできなくなります。話しかけても反応がなく、表情がなくなります。嚥下障害により食べ物を受け付けなくなり、免疫機能の低下により種々の合併症を引き起こしやすくなり、肺炎などで亡くなることもあります。最終的に呼吸機能など、生命維持に不可欠な機能をつかさどる脳の部位が破壊され、死に至ります。
 一番良いのは、発症前の段階で食い止めることです。認知症の発症リスクが急激に高まるのは60代からですが、実際発症するかどうかは、40歳頃からの生活習慣によってある程度決まります。
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