認知症機能の改善や進行抑制に効果。特に軽度・高齢発症の患者に効果が高い。記憶機能回復、脳神経細胞の新生を促す。アルツハイマーの原因アミロイドβの脳内炎症を抑える。強い抗酸化作用。玄米、米ぬかに多く含まれている。がん予防効果、血圧改善効果。血糖値正常化。
タウ撃退、抗炎症作用、老化予防。
最強の神経細胞保護成分
アミロイドβの溶解を高めタウを低下
 脳に蓄積したアミロイドβやタウは強い毒性を放つようになり、神経細胞を破壊します。またこの時、脳内では高い確率で炎症が起きていると考えられます。単純にアミロイドβを除去するだけでは、この炎症は止まらず、新たなアミロイドβも分泌され続けます。
 こうした毒や炎症から神経細胞を守るために、ぜひ摂取すべきなのがポリフェノールです。ポリフェノールには抗炎症作用、抗酸化作用、抗菌作用など、人体に有用な効果が多数報告されています。
 ポリフェノールには様々な種類がありますが、特にフェルラ酸と呼ばれるポリフェノールには、強力な認知症の予防効果があると考えられています。
 フェルラ酸は植物の細胞壁に含まれ、その酸化を防いでいる物質です。玄米、米ぬかに多く含まれ、他の植物に含まれるポリフェノールよりも体内への吸収率が非常に高いことが確認されています。
 認知症に関連する効果としては、大きく分けて3つあります。一つ目は、アミロイドβの分解を促進し、タウの蓄積を低下させる作用。二つ目は活性酸素の毒性から神経細胞を守る抗酸化作用。三つ目は血糖値降下作用。
 アミロイドβが蓄積してしばらくすると、その毒性によって神経細胞内のタウもまた毒性を持つようになります。フェルラ酸はこのアミロイドβの溶解性を高めて分解を促進し、タウを有意に低下させます。2016年にファンケルが行った実験によれば、フェルラ酸を添加した培地で神経細胞を培養した実験を行った結果、フェルラ酸はリン酸化タウタンパク質を最大で40%低下させることが判明しました。
 また、エネルギー消費量の多い脳は活性酸素のダメージを受けやすい部位ですが、強力な抗酸化作用のあるフェルラ酸は、活性酸素によるダメージから細胞を保護し、脳の老化を防止します。
血糖値を低下させる作用、認知機能の低下抑制効果
 さらに、血糖値が高い糖尿病患者はアルツハイマー病のリスクが2倍になりますが、フェルラ酸はこの血糖値を低下させる作用もあります。マドラス大学の研究によれば、糖尿病動物にフェルラ酸を30日経口投与した結果、インスリン抵抗性が改善され、血糖値が正常化しました。
 臨床試験では、アルツハイマー病患者143名にフェルラ酸を含むサプリメントを9ヶ月間投与したところ、75%に認知機能低下の抑制が見られました。(中程度症状の患者は投与の6ヶ月後まで改善状態が続き、軽度症状の患者は投与開始から9ヶ月もの間、症状の改善状態が続いたというデータが報告されています)
認知症以外にもガン予防、血圧改善、
美白・アンチエイジング効果も
 また、妄想、幻覚、怒り、不安などのいわゆる認知症の周辺症状(BPSD)の緩和効果も期待され、実際にアルツハイマー病・レビー小体型認知症・前頭側頭型認知症の患者にも効果があったことが複数報告されています。
 その他の効果として、大腸ガンなどのガン予防効果、血圧改善による脳梗塞などの予防効果、美白・アンチエイジング効果などがあります。
 まさにメリットだらけのフェルラ酸。精米した白米を食べている現代人には摂取しづらい成分なので、白米を玄米に変える、1日大さじ1〜2杯程度の米ぬかを摂取する、サプリメントで補うなどの対策をするのがいいでしょう。
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