実験動物における研究で、加齢に関する脳の退行を是正するα-GPCの価値が示されている。ムッチオーリらは、老齢ラットのムスカリンM1受容体（アセチルコリンに関連する神経伝達に重要である）が顕著に減少し、幼若ラットと比べて線条体、海馬の細胞膜粘性が亢進していることを認めました。
　また、線条体と海馬における細胞膜粘性も部分的に回復し、これにより膜の流動性が増大した。アメンタらは、老人脳における解剖学的変化と、その介入としてのα-GPCの適用について研究した。アメンタらは、成人ラット脳の海馬、大脳皮質の神経細胞密度が加齢とともに減少するのを見いだしました。α-GPCを投与すると、これらの脳領域で加齢による神経細胞の減少が是正されました。
　アメンタらは、α-GPC療法が老人脳で起こる構造的変化の発現を遅延させるのに効果的であると述べています。

　α-GPCは、脳卒中患者の認知機能回復に治療効果がある。バルバッガロらは脳卒中後に認知機能低下を経験した男女を研究したところ、α-GPCを使用した参加者の約4分の3で認知機能低下や健忘症が見られなかったといいます。この所見から研究者らは、脳卒中患者の認知機能回復にα-GPCを推奨しています。

　血管性認知症の患者にもα-GPCサプリメントが有用となります。ディ・ペリらは、軽度から中等度の血管性認知症患者120人に、α-GPCを投与した。90日の治療期間で、このチームは認知機能、記憶力、うつスケールの改善を観察しました。

α-GPCは生体内に存在する成分であり、海外での脳機能障害に対する医薬品としての実績に加え、成長ホルモン分泌促進効果があることなどから、欧米では脳機能維持の他、運動パフォーマンスの向上を訴求するサプリメントへの利用が進められている。
現在問題となっている認知症は脳血管型とアルツハイマー型の2つに分けられるが、α-GPCはいずれにおいても効果を発揮することが示されている。脳血管型痴呆に対するα-GPCの効果をまとめると次のとおりである。

�@記憶力、注意力、認識力の改善
�Aイライラ、情緒不安定等の感情的 症状や周囲の事象に対する無関心の改善
�B疲れ、めまいといった肉体症状の改善

一方アルツハイマー型痴呆に対してα-GPCを6カ月間経口投与した結果、認知機能だけでなく、アルツハイマー患者を介護する上で重要となる日常生活動作においても改善がみられている。